「名馬」を語る アイドル性と実力の掛け算。思い出の白毛馬、ユキチャン 2025年8月11日 今でこそシラユキヒメ牝系はブチコからソダシ、ママコチャがあらわれ、GⅠ馬の牝系としてマルガの未来へとつながっているが、初期は白毛という毛色だけがクローズアップされ、ただ珍しい毛色の一族だった。見た目で人を判断してはならない。ルッキズムなる言葉もまだ浸透していなかったころ、普通と違う外見を持つものはただただ異形という扱い... 勝木 淳
「名馬」を語る カフジオクタゴン - メジロ血統を受け継ぐダート活躍馬 2025年8月10日 つい、口にしたくなる馬名がある。たとえば、カフジオクタゴン。語呂がとても良い。馬主の冠名カフジに八角形のオクタゴンという、分解してみればいたってシンプルな馬名であるが、私はこの馬名が好きだ。 主に彼はダート中距離戦線で活躍し、主な勝ち鞍はレパードステークスである。そんなカフジオクタゴンの背景を探ると、そこにはメジロ牧場... 大守アロイ
「名勝負」を語る 奇跡の血脈から生まれた無事是名馬 - 2019年ハヤヤッコが勝利したレパードSを振り返る 2025年8月10日 ■白毛という奇跡 当記事を書いている2025年8月現在、中央競馬における「白毛」の現役登録馬は7頭(未出走馬含む)。相変わらず珍しい存在だが、筆者が競馬を見始めた2000年前後はもっと珍しく、まさに奇跡の存在だった。 振り返ってみると、日本初の白毛競走馬のハクタイユーがデビューしたのが1982年の2月。その産駒であるハ... ムラマシ
「名馬」を語る 馬がいて、人がいて…。横山和生とハイランドピーク 2025年8月9日 爽やかな札幌の夏空。砂埃の向こうでひときわ大きな歓声が弾けた。 勝者、ハイランドピーク。その背には横山和生。彼は込み上げる思いを噛みしめるように左手を突き上げ、それから愛馬の首筋をそっと撫でた。父・横山典弘という偉大な存在を追い続けてきた青年が、ついにJRA重賞初制覇という勲章を手にした。 多くの競馬ファンにとって「横... norauma
「名馬」を語る [追悼]ありがとう、グラスワンダー。灼熱の時代を駆けた“マル外の怪物”の蹄跡を振り返る 2025年8月9日 力強く大地を蹴り上げ、隆起した筋肉を誇る栗毛の馬体がゴール板を駆け抜けた。誇らしげな人馬が、喝采を一身に浴びていた。 あの姿を、私たちは忘れない。 ひとつのいのちが、静かに天に旅立った。 グラスワンダー。灼熱の時代を生きた、マル外の怪物。享年30歳。本当に長く、よく、生きてくれた。今はただ、心からの感謝を伝えたい。 衝... norauma
「名馬」を語る わたしの場所はアイビスサマーダッシュ。快速馬カノヤザクラの生涯を振り返る 2025年8月2日 とある夏の、小倉メインレース。自分の推している馬が惨敗した。最後の直線では、誰がみてもバテており、騎手も無理に追わなかったくらいである。その後、彼は暑さが苦手で、ひどい夏負けをしていたことがわかった。 このことがきっかけで、夏競馬は過酷だということに気づいた。たしかに、自分だったら走りたくない。個人的には1週間くらい競... ゆもと さとこ
「名勝負」を語る 「モノトーンのぬいぐみ馬?」アエロリットが輝いた、2017年クイーンステークス 2025年8月1日 夏のローカル競馬は名物重賞で綴られる! 夏のローカル競馬。関東圏では、福島の七夕賞で夏が始まり、札幌記念で夏競馬のピークを迎え、新潟最終週の新潟記念で夏が終わる。中弛み期間とも言うべき7月下旬〜8月上旬、ここに、目先を変えたスパイシーな重賞が組まれている。それがアイビスサマーダッシュとクイーンステークスである。前者は新... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る パドトロワ~夏の王者に輝いた、「バレエ一族」3代目の息子~ 2025年7月27日 競馬の勢力図は、目まぐるしく変わる。 が、たとえその絶対的な主役が入れ替わろうとも、その脇を固める有力馬たちの顔ぶれは、意外にも変わらないケースも多い。2010年代の前半、カレンチャンからロードカナロアの2頭がその王座を取り合っていた短距離路線において、パドトロワはまさにそんな存在だった。 ■バレエの血、短距離界で咲く... 小早川 涼風
「名馬」を語る 父から翼を授かって…。大型馬ミッキーグローリーが制した2018年・関屋記念を振り返る 2025年7月26日 ■夏の風物詩 関屋記念 炎天下の中、長い直線を惜しみなく使った激しい攻防が繰り広げられる関屋記念。夏の新潟開催を代表するマイル重賞と言える。筆者が実際に競馬を見始めたのは1999年の秋からなので、関屋記念をテレビで初めて観たのは福島芝1700mで開催された2000年の関屋記念(勝ち馬:ダイワテキサス)だった。新潟競馬場... ムラマシ
「名馬」を語る 松柏之寿 - 若き日のワンダーアキュート 2025年7月25日 1.「松柏之寿」 「松柏之寿」という四字熟語がある。長命であること、節度を守って変わらないことを言う。松や柏といった樹齢が長い常緑樹に、変わらない若々しさを見る語である。この四字熟語の出典は唐の詩人・白楽天の漢詩なので「柏」というのは中国の「コノテガシワ」という品種を指し、日本の落葉樹の「カシワ」とは異なるようだ。 と... 縁記台