「名勝負」を語る 南半球産の怪物の誕生 - ロックドゥカンブが無敗で重賞初勝利した2007年ラジオNIKKEI賞を振り返る 2024年6月30日 南半球は季節が逆転する 競馬は大人の娯楽と言われるが、小学生からゲームで競馬を覚え、そしてテレビで本格的に毎週観戦するようになると、世間の一般常識も普段の生活や勉強よりも先に競馬を通じて覚えることが多い。例えば「東雲」「斑鳩」等の読み方、「如月(きさらぎ)」「皐月」等の旧暦、さらには「Allure(アリュール)」「Pr... ムラマシ
「名勝負」を語る 希望の光が放たれたゴール前。ヨカヨカの北九州記念 2024年6月30日 2021年8月22日、雨の小倉に希望の光が降り注いだ。 熊本で生まれたヨカヨカが北九州記念を勝った。熊本産初のJRA重賞勝利。フィリーズレビュー、葵S2着と惜しい競馬が続いていた。あと一歩。されどその一歩が遠い。1.06.4で駆け抜けた小倉CBC賞でさえ5着。どんなに懸命に走っても手が届かない。重賞タイトルは重く、ヨカ... 勝木 淳
「名勝負」を語る 豪州から来た若手、レーン騎手とともに制したグランプリ。リスグラシューが強豪牡馬たちを撃破した2019年の宝塚記念 2024年6月23日 宝塚記念……それは春のG1開催を締めくくる伝統のグランプリレースだ。専用のファンファーレによって送り出される精鋭ぞろいの競走馬たちによって、いくつものドラマが生み出されてきた。 例えば、不慮の事故により数少ない世代しか残せなかった父の産駒の代表として、脚部不安を抱えながらも7歳で宝塚記念を勝利した、スズパレード。例えば... 鳥野 紗々実
「名勝負」を語る ディープインパクトのための、ディープインパクトによる、ディープインパクトの宝塚記念。2006年、京都開催の宝塚記念を振り返る 2024年6月21日 宝塚記念の歴史を紐解く 春のG1シリーズの余韻が薄まり始めたころに実施される、宝塚記念。春競馬のフィナーレであり、夏競馬のスタートラインでもあり、出走するメンバーも年ごとに大きく変化する。従って「宝塚記念の固定イメージ」というのは、なかなか湧いてこない。共通して言えることは、「現地観戦は毎回地獄の暑さ」ということ。ビー... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る エアグルーヴのターニングポイント/「名馬への道」を確立させた1997年マーメイドステークス 2024年6月15日 6月の府中競馬場は「祭りのあと」 毎年、安田記念が終わると私は腑抜け状態になる。5週連続のG1に酔いしれ、3歳馬たちの1年がオークス、日本ダービーで一区切りがつくと、「終わった感」満載になってしまうのだ。翌週から函館開催が始まることもあって、気分は既に夏競馬。府中、阪神の開催がまだ3週間残り、阪神の最終週に宝塚記念が控... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 国境を越えた限界突破。その闘志に国籍なし - 2005年アサクサデンエンの安田記念 2024年5月29日 きっかけは2000年安田記念だった。前年暮れの香港スプリントを勝ったフェアリーキングプローンが10番人気の低評価を覆し、優勝。これを機に香港勢の日本遠征が活発になった。日本の競馬ファンにとって、競馬は1年365日全国どこかで開催されているシーズンオフなき競技だが、世界の競馬にはオフシーズンなるものが存在する。香港では4... 勝木 淳
「名勝負」を語る それぞれのダービー、それぞれの人生。第83回 日本ダービー(2016年) 、マカヒキと川田将雅騎手の涙の勝利を振り返る 2024年5月26日 すべては、この熱き日のために 「今日はダービーめでたいな」という有名な歌詞があるが、ダービーの日はめでたい。なぜならその日に新たなダービー馬が誕生し、また新たなダービーの歴史が誕生するからである。仮に騎手や調教師、オーナーたちにとっては2度目以降の制覇だとしても、それもまた快挙達成の瞬間であり、めでたいことに変わりはな... ムラマシ
「名勝負」を語る 「これ、負けるヤツなのに…」 穴屋も腰を抜かした競馬を見せた、藤岡康太騎手・ジョーカプチーノのNHKマイルカップ 2024年5月2日 競馬には色々な格言、定石というものがある。スローペースなら先行馬。ハイペースなら差し警戒。そんな展開読みから導く優位な位置取りもそのひとつ。そして、展開、つまり流れを読むのは競馬において非常に大切だ。騎手のコメントには「緩い馬場で走りにくそうだった」「もう少し流れてくれれば」といった馬場や流れを敗因に挙げる場合が多い。... 勝木 淳
「名勝負」を語る 「長距離で逃げ馬を自由にしてはいけない」を体現した歴史的な大逃げ。イングランディーレと横山典弘騎手の2004年・天皇賞春を振り返る 2024年4月27日 競馬界には色々と"格言"があるが、長距離のレースにも幾つかの格言はある。その一つは『長距離で、逃げ馬を自由にしてはいけない』。そんな格言を体現するような走りを見せた馬がいる。彼の名前はイングランディーレ、そして鞍上は横山典弘騎手。 3200m戦の天皇賞春は、言わずと知れた古馬混合G1最長の長距離レースである。スタミナ自... 朱鷺野 真一郎
「名勝負」を語る 『クビ差』届かなかった東京優駿出走の夢/2013年青葉賞3着ラストインパクト 2024年4月26日 「東京優駿出走」の重さ 生涯ただ一度だけ出走することができる東京優駿の出走枠は「18」。 前年6月にスタートしたクラッシックロードを戦い抜き、ようやくスタートラインに立つことが出来るのが、18頭である。そこまでの過程には、『能力』だけでなく『運』も伴わないと辿り着くことができない。 「ダービーでビリの18着といっても、... 夏目 伊知郎