「名勝負」を語る 2015年、ゴールドシップ引退の有馬記念。ウインズでも驚きの地響きが始まった、白き名馬の"捲り"を振り返る 2023年12月23日 直線距離では全国一とも呼ばれる札幌の地下街は、全長1.9㎞にも及ぶ。 北はJR札幌駅の北口のさらに先から、南は歓楽街すすきのまで地下鉄2駅分という、札幌中心部を貫く地下通路。その日の私は足早に、北から南へと向かっていた。 すっかり人通りの戻った地下街を、人波に抗うように先を急ぐ。時計は15時少し前。大通公園の下を抜け、... 枝林 応一
「名勝負」を語る 障害競走で素敵な花を咲かせた歴戦の名馬、ニシノデイジー - 2022年中山大障害 2023年12月22日 1934年に「大障害特別」の名で実施された競走に端を発する、障害馬による暮れの大一番「中山大障害」。私が見た、初めての中山大障害は2017年のもの。アップトゥデイトの全身全霊を賭けた大逃げ策に、オジュウチョウサンが真っ向から食らいつく。まさに死闘とも呼べるこのレースに、大いに魅了された。 その時は、まさかこのレースに"... 鳥野 紗々実
「名勝負」を語る 始発に乗り、開門ダッシュで見た1年間の総決算。私にとって人生最高の有馬記念となった2001年有馬記念を振り返る 2023年12月21日 有馬記念は多数あるG1レースの中でも"特別なレース"である。 馬券の売上高も断トツで1位なのが有馬記念、しかしそれだけではないのが有馬記念だ。 1年を締めくくるG1レースとしての盛り上がり、有馬記念をラストランとする馬たちの見納めなど…。師走の寒空の中で、精いっぱいの声を張り上げて選んだ馬を応援すると、長い1年が終わっ... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 砂の怪物ルヴァンスレーヴ 全日本2歳優駿で見せた衝撃の快走劇 2023年12月13日 いつの時代も盛り上がる「ダート最強馬論争」。ある人はクロフネという。またある人はホクトベガの名前を出すし、カネヒキリやスマートファルコンだと主張する人もいる。人それぞれ意見があるのは承知。だが、私はルヴァンスレーヴを真っ先に挙げたい。ダートGI級を4勝。勝ち星だけ見れば突出したものではないが、レース内容、凄み、迫力は数... 中川兼人
「名勝負」を語る 「ヒシアマゾン女傑ストーリー」の原点、1993年阪神3歳牝馬ステークス 2023年12月10日 【女傑】 しっかりした気性とすぐれた知恵を持ち、実行力に富んだ女性──出典:コトバンク 「女傑」というフレーズを耳にすると、平成の初め頃に活躍していた一頭の牝馬を思い出す。 その名をヒシアマゾンという、黒鹿毛のがっちりとした牝馬である。外国産馬ゆえに、4歳(現3歳)の春のクラッシック戦線には出走できず、秋のエリザベス女... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 歩み続けるということ。ニホンピロアワーズと酒井学騎手が掴み取った待望の"1勝" 2023年12月2日 お金は無くとも時間はたくさんあった学生時代。馬券を買っても買わなくてもハラハラできて、だいたいはお金が減るけれど時々はお小遣いがもらえて、何より馬たちがひたむきに命を燃やす姿を見られる競馬場が大好きだった。 少し先の予定を調整するとき、心の片隅でいつも「その日はあのレースがあるな」「推しのあの子が走るかもしれないな」と... norauma
「名勝負」を語る [クイーン賞]スタートからクレイジーアクセル全開 生え抜き馬がクイーン賞でつかんだビッグタイトル 2023年11月29日 レース名にちなみ、世界名バンド「Queen」の名曲をBGMに馬場入場する。毎年恒例になったクイーン賞のひとコマ。牝馬限定戦のハンデ戦とあって、馬券下手な筆者にとっては、無い脳みそをフル稼働しても当たらない難解なレースでもある。 冗談はさておき、今回はクレイジーアクセルのことを書かせていただく。同馬は父ロージズインメイ、... 中川兼人
「名勝負」を語る サラブレッド界の"サラブレッド"、エピファネイアが才能を爆発。競馬界を変えた2014年ジャパンカップを振り返る 2023年11月26日 サラブレッド(Thoroughbred)とは 競走馬の品種として主流の「サラブレッド(Thoroughbred)」という名称は「完璧な品種」「純血」と言う意味を持つ。8代連続でサラブレッドを交配された馬が「サラブレッド」と大まかな定義とされており、競走馬という存在はその血統の確かさが大前提となる。 人間の世界においても... ムラマシ
「名勝負」を語る 1年越しで夢見た"絶景" - 2011年・ジャパンカップ 2023年11月24日 晩秋の府中、東京競馬場で行われる国際招待競走ジャパンカップ。レース発走時刻を迎える頃になると、西日が競馬場を照らし、トップホースたちの共演、そして勝者の栄光をより一層輝かしく黄金色に演出する。まさにそのシーンは競馬ファンにとってはもちろん、勝利した陣営・馬自身にとっても「絶景」と言っても過言ではないだろう。 本題の20... ムラマシ
「名勝負」を語る 勝負の"ツキ"が明暗を分けた一戦。フサイチパンドラとカワカミプリンセスの激突した2006年エリザベス女王杯 2023年11月12日 ──ツイてる日とツイてない日。 生きていれば毎日を、この二通りのどちらかに当てはめることができる。 私は特に縁起担ぎや占いを信じるタイプではないと思っている。しかし日によっては、自分が決断したものが裏目に出たりすると"ツキの無さ"を嘆くことが多々ある。そして"今日は運気下降の日"と決めつけてしまう。 人間と同じく、馬た... 夏目 伊知郎