「名勝負」を語る その旅程は砂上に刻まれた~シルクメビウス・2010年東海ステークス〜 2021年1月24日 2020年12月16日水曜日、川崎競馬場。父にヘニーヒューズを迎えた母父ステイゴールドの牡馬・アランバローズが、後続に5馬身もの大差をつけて、交流JpnⅠ全日本2歳優駿を逃げ切った。 ステイゴールドの仔が走り始めて16年目。その血が初めてダートの頂点に立った瞬間だった。そしてその瞬間、歓喜に沸くステイゴールドファンの脳... 枝林 応一
「名勝負」を語る 祖父から受け継いだ驚異のスピード〜2001年・フェアリーステークス〜 2021年1月10日 世界でも、間違いなくトップクラスのレベルにあるといってよい現代の日本競馬。その背景には、育成・調教技術の向上があったことはいうまでもないが、特に大レースにおいては、以前と比べてよりいっそうスピードが重視され、血統面でも、同様にスピードが重視されることとなった。 種牡馬では、ディープインパクトを筆頭に、サンデーサイレンス... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る 長距離の名門が輩出した、たたき上げのグランプリホース〜1992年・有馬記念〜 2020年12月27日 2019年の有馬記念、断然の1番人気に推されたアーモンドアイは、生涯唯一の大敗となる9着と敗れた。しかし、2018年からの過去10年で馬券に絡めなかった1番人気馬は、2015年のゴールドシップのみと、有馬記念は1番人気馬がしっかり走るレースという印象がある。 また、有馬記念と共に『グランプリ』と総称される宝塚記念との両... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る 大穴騎手と大穴娘、運命の邂逅〜2014年・ターコイズS〜 2020年12月20日 「大穴をあける騎手といえば?」という問いに、皆さんはどの騎手を思い浮かべるだろうか。 様々な名前が挙がると思うが、おそらく上位に食い込むのが、江田照男騎手ではないだろうか。ダイタクヤマトで制した2000年のスプリンターズステークスは、16頭中の16番人気。他にも、テンジンショウグンやネコパンチで制した日経賞など、平場の... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る 6歳の少年と、テイエムプリキュア〜2005年・阪神JF〜 2020年12月13日 寄り道、脇道、回り道、しかしそれらも全て道!──キュアビューティ/青木れいかスマイルプリキュアより 一般的に「プリキュア」と言えば、大人気アニメであるプリキュアシリーズを思い出す人が多いだろう。しかし我々競馬民にとっては、競走馬のテイエムプリキュアが先に出てくる人も少なくないはずだ。彼女は私にとって、不思議な縁を持つ1... 小早川 涼風
「名勝負」を語る Rewind the Race [Rewind the race]絢爛華麗~2013年・阪神ジュベナイルフィリーズ~ 2020年12月13日 牝馬クラシック第一戦・桜花賞と全く同じ舞台で行われる2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズ。過去にはウオッカにブエナビスタ、ラッキーライラックなど、後の女王を輩出した名門レース。そして12月の開催ということもあって所謂師走の気配を肌で感じることのできるレースでもある。そんな2歳女王決定戦の中から、今回は大激戦の末G... ハラシュー
「名勝負」を語る 黄金タッグが再び送り出した傑作〜2009年・中日新聞杯〜 2020年12月12日 競馬界には、相性の良い騎手と調教師のコンビ、すなわち黄金タッグと呼べる組み合わせが何組か存在する。かつては、岡部騎手と藤沢調教師のタッグが有名で、近年ではルメール騎手と藤沢調教師、そして川田騎手と中内田調教師のタッグチームが思い浮かぶ。 今回は、体質の弱さから幾度も雌伏の時を経ながらも、黄金タッグによって後に本格化。つ... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る Rewind the Race [Rewind the race]砂塵邁進~2013年・ジャパンカップダート~ 2020年12月6日 暮れのダート王決定戦「チャンピオンズカップ」。 「チャンピオンズカップ_として中京競馬場で行われるようになったのは2014年からで、それまではジャパンカップダートという名前で、東京競馬場や阪神競馬場でレースが施行されていた。 コースやレース名こそ違いがあれど、数多くの『砂の王』がこの舞台で誕生した。今回はそんな砂の王者... ハラシュー
「名勝負」を語る メジロブライト 雨を引き裂く閃光の末脚〜1997年・ステイヤーズS〜 2020年12月6日 中央競馬の平地重賞において、勝ち馬が2着以下に『大差』をつけて勝利した例はほとんどない。年間100以上行われる平地重賞の中でも、平成以降ではたった3例しかない。2020年11月末現在、サイレンススズカがレコードで圧勝し伝説となった、1998年の金鯱賞が最後となっている。 今回は、そのサイレンススズカの同期にあたる馬が、... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る その末脚、命の輝きのごとく ~2016年チャンピオンズカップ・サウンドトゥルー〜 2020年12月5日 サラブレッドは、血のドラマだといわれる。300年以上もの間、連綿と紡がれてきた血の歴史が、一頭一頭の血統表に息づいている。 走ることは、すなわち自らの血を残すこと。 そんな宿命のサラブレッドの中にありながら、どれだけ走ろうとも血を残せない優駿たちがいる。されど、彼らの走りは、時に大きな輝きを放つ。 師走の寒空の下、中京... 大嵜 直人