「名勝負」を語る メジロブライト 雨を引き裂く閃光の末脚〜1997年・ステイヤーズS〜 2020年12月6日 中央競馬の平地重賞において、勝ち馬が2着以下に『大差』をつけて勝利した例はほとんどない。年間100以上行われる平地重賞の中でも、平成以降ではたった3例しかない。2020年11月末現在、サイレンススズカがレコードで圧勝し伝説となった、1998年の金鯱賞が最後となっている。 今回は、そのサイレンススズカの同期にあたる馬が、... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る その末脚、命の輝きのごとく ~2016年チャンピオンズカップ・サウンドトゥルー〜 2020年12月5日 サラブレッドは、血のドラマだといわれる。300年以上もの間、連綿と紡がれてきた血の歴史が、一頭一頭の血統表に息づいている。 走ることは、すなわち自らの血を残すこと。 そんな宿命のサラブレッドの中にありながら、どれだけ走ろうとも血を残せない優駿たちがいる。されど、彼らの走りは、時に大きな輝きを放つ。 師走の寒空の下、中京... 大嵜 直人
「名勝負」を語る 『伝説のレコード』が塗り替えられた日〜2005年・ジャパンカップ〜 2020年11月29日 日本の競馬でマークされたレコードタイムのなかで、個人的に大きな衝撃を受けたタイムがいくつかある。 1989年のジャパンカップで、ホーリックスがマークした2分22秒2。1997年のシルクロードステークスで、エイシンバーリンがマークした1分6秒9。2001年の武蔵野ステークスとジャパンカップダートで、クロフネがマークした1... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る 競走生命と引き換えにした、称賛される銀メダル~1983年ジャパンカップ 2020年11月28日 言わずもがな、競馬は優勝劣敗の世界。1着こそが名誉であり、1着馬の関係者こそが拍手喝采を浴びることが許される世界だ。けれど、長年競馬を観て来た私が “賞賛される2着というものがある” と感じたことが、過去に3回ある。 まずはトゥザヴィクトリーが2着となった、2001年のドバイワールドカップ。これまで日本最強のダートホー... 並木 ポラオ
「名勝負」を語る Rewind the Race [Rewind the race]三冠激突〜2012年・ジャパンカップ〜 2020年11月26日 その年の東京開催フィナーレを飾るジャパンカップ。 日本競馬最高額の賞金を誇り、世界各国から有力馬を招待して開催されるビッグレースだ。日本、そして世界屈指の強豪が集まるため名勝負が多く、競馬ファンにとっては世界レベルのレースに酔いしれられる1日でもある。今回はそんなジャパンカップの中でも、3冠馬2頭による壮絶な叩き合いと... ハラシュー
「名勝負」を語る "GⅠへの登竜門"の真骨頂〜2013年・東京スポーツ杯2歳ステークス〜 2020年11月20日 数ある2歳重賞の中でも、出世レースとして名高いのが東京スポーツ杯2歳ステークスではないだろうか。2019年の勝ち馬コントレイルが、翌年に史上初となる親子二代無敗の三冠を達成。2005年から実に12年連続で当レースの出走馬が後にGⅠを制していて、2018年の出走馬からGⅠ勝ち馬が出ればこの記録はさらに伸びることとなる(2... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る [Rewind the race]京都之神~2013年・マイルチャンピオンシップ~ 2020年11月19日 京都開催の締めくくりG1「マイルチャンピオンシップ」。 春の安田記念と合わせて「春秋マイルG1」として多くの名マイラーを生み、名勝負を繰り広げてきた。また京都巧者の好走も多く、所謂リピーターも上位に食い込みやすいというのも特徴的なレースである。今回は歴史あるマイルチャンピオンシップの中で、初のG1を得意の京都で制覇し、... ハラシュー
「名勝負」を語る 日本の競馬ファンを震撼させた脅威の末脚〜 2010年・エリザベス女王杯〜 2020年11月15日 エリザベス女王杯は、非根幹距離と呼ばれる2200mで行われる。同距離で行われるGⅠは他に宝塚記念しかない。2000mや2400mと比べてマイナーな条件だからこそ、この距離を得意とするリピーターが、過去に何頭も活躍してきた。また、その異質な条件を求めるのは日本国内の馬に限らない。時には、遠く数千キロ離れたヨーロッパから遠... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る 秋桜の咲く頃に〜2011年・福島記念〜 2020年11月14日 秋の福島開催で行われる伝統の重賞といえば、福島記念である。 福島記念は『荒れるハンデ重賞』のイメージがあるが、2010年〜2019年の10年間を調べてみると、多くのレースで単勝オッズは割れていたものの、3連単の配当が10万円を超えた年は2回しかない。 その中でも、特別目立つのは、2011年の福島記念。1番人気の単勝オッ... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る 雷神と百合、得難き出会い〜2018年エリザベス女王杯・リスグラシュー〜 2020年11月14日 国民文学作家と呼ばれた吉川英治は、人生における得難い出会いについて、こう書いている。 十年語り合っても理解し得ない人もあるし、一夕の間に百年の知己となる人と人もある。玄徳と孔明とは、お互いに、一見旧知のごとき情を抱いた。いわゆる意気相許したというものであろう。吉川英治「三国志 赤壁の巻」(新潮文庫) 自らもその血を引く... 大嵜 直人