2017年11月6日、私は北海道で1頭の年老いたサラブレッドを眺めていた。ビワハヤヒデ。1993年のJRA賞年度代表馬である。彼のおかげで競馬を知り、のめり込んでいった私にとってそれは初めて目の当たりにする『永遠のヒーロー』の姿であった。 10年ほど前、当時中学生だった私はとあるゲームがきっかけで競馬に興味を持ち始めた...
「名馬」を語るの記事一覧
およそ5年に渡り障害界の第一線で活躍した元競走馬が、第二の馬生を歩んでいる。障害競走の魅力を伝えるべくその道を照らし続け、障害25戦全てを完走・重賞6勝という輝かしい成績を残した名馬だ。 その競走馬は、オースミムーン。 オースミムーンは平地競走を11戦したものの、勝利を収める事は叶わなかった。しかし障害転向という道を経...
時の流れというのは大変恐ろしいものだ。高校生でも、そう思うことはある。競馬という時間のサイクルが速いブラッドスポーツを見続けていくと、さらにその実感が湧いてくる。 私が通う高校での、とある授業の休み時間。競馬に興味を持ち始めた友人からその週の重賞に出走する馬について問われたので「この子の親は、現役時代めちゃくちゃ強かっ...
私が競馬というものをしっかりと認識し始めたのは、たしか、4歳か5歳くらいの頃だった。 競馬好きの父親に競馬場へ連れられて行き、そこで生の競馬に感動し、騎手になりたいと思ってからの事だ。そしてその時期にデビューした1頭のサラブレッドのことを、鮮明に覚えている。その馬は「勝って当たり前」という大きなプレッシャーをはねのける...
ディープインパクト産駒といえば。キズナ、ジェンティルドンナといった馬が、最終直線、父を彷彿とさせる末脚でレースを逆転し勝利をつかむ──というイメージが強い。代表産駒に数えられるような名馬でなくとも、ディープインパクトの子どもは総じて「前半はゆっくり、後半を速く走る」というレースが得意だ。 しかし、なかにはディープインパ...
人がやれていることができず、失敗を繰り返しながら成功する。人生はトライ&エラー。ハナから成功するような人はほんのひと握りであり、大抵の場合、挑戦しては失敗し、そこから学んだことを次の挑戦に生かす。それでも、別の問題で失敗する。生き続けている以上、トライ&エラーは終わらない。 だが、その繰り返しはいつか必ず実を結ぶ。大事...
2007年5月27日。この日、この時、私はテレビを前にして初めての衝撃を覚えた。 逃げるアサクサキングスを残り200で捉え、豪快に突き抜け世代の頂点に立つ1頭の牝馬。澄んだ青空、鞍上の右手が高々と上がった水色の襷の黄色い勝負服。漆黒の雄大な馬体。彼女が成し遂げたのは「64年ぶりの牝馬によるダービー制覇」という快挙だった...
師匠と弟子。 この響きに、どんなイメージを持つだろうか。 競馬以外の話になってしまうけれど、私が愛して止まないダーツには師匠が居る。師匠と出会う前もダーツはしていたものの、今考えるとムチャクチャでありえないフォームで投げたり、定石を無視した攻め方をしていたように思う。私の仕事はダーツをすることではない。矢でサラリーをも...
2019年12月21日、中山大障害。難関・大竹柵や大生垣を飛越していく人馬に歓声が上がる。そしてレース後には、全人馬の無事完走を労う拍手が湧き起こった。その激戦を制し、祝福を一身に浴びる優勝馬はシングンマイケル。鞍上は金子光希騎手であった。「障害競走って、いいな」人馬を前にそんな事を思う、いつもの暖かい光景。障害競走で...
その馬は、スピードが違い過ぎた。それだけでなく、強靭なスタミナも兼ね備えてた。 まるで自分のレースタイムがどれほどのものか、理解しているかのような走り方をしていた。後続から来る、今もなお名を残している強力なライバル達を、子供扱いしていた。 ある者は、欲望・羨望を。ある者は、絶望を。そしてある者は、日本競馬史上最強馬とい...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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