「名勝負」を語る 「サイレンススズカが背中を押してくれました」。最強世代ダービー馬が駆け抜けた"復活の日曜日" - 1999年・天皇賞秋 2023年10月29日 あの日、僕らは沈黙に包まれた。言いようのない感情に心が支配された。 1998年11月1日、1枠1番1番人気、サイレンススズカ。府中の魔物に飲み込まれ、スピードの向こう側へと駆けて逝った瞬間を陳腐な表現で語るなら、絶望、悲愴、喪失感。それまで彼の勝利を、活躍を願っていとわなかった我々の想いは、一瞬にして飲み込まれた。 そ... 小早川 涼風
「名馬」を語る 父から受け継いだタフさで39戦を走り抜けて - メイショウサムソン産駒・デンコウアンジュ 2023年10月28日 無事之名馬、メイショウサムソンの記憶 私が競馬を意識し始めたころに応援していたのは、メイショウサムソンであった。 皐月賞、ダービーの二冠制覇をリアルタイムで目の当たりにしたことは記憶に無いものの、2007年天皇賞(秋)でのパフォーマンスに衝撃を受けたのは覚えている。最内で逃げるコスモバルクの背後にピッタリ付け、直線に入... かんちゃん
「名勝負」を語る ウオッカvsダイワスカーレット。日本の競馬史上"最大の名勝負"とも言われる、2000m戦2cm差決着。 - 2008年 天皇賞・秋 2023年10月27日 いわゆる"ライバル対決"は、スポーツにおける醍醐味の1つである。特に競馬の場合、動物(馬)であるが故に不可抗力・偶発的な出来事が多い。それらも含めた積み重ねの上でライバル対決が実現するからこそ、競馬ファンはライバル対決に魅了されるのであろう。 さて、皆様は競馬界のライバル対決といえば、どの馬たちのどのレースを思い浮かべ... ムラマシ
「名勝負」を語る 1990年、秋。孤軍奮闘のオグリキャップを横で見届けた、盟友ヤエノムテキ/天皇賞(秋) 2023年10月27日 年齢を重ねていくと、人生のターニングポイントとなる年が必ずある。 毎週を「競馬開催メニュー」で区切っていけば、それを52回繰り返すと一回りする。そこには、様々な世代のヒーロー、ヒロインが登場し、52週の物語を作り上げていく。私たちは競馬場で、あるいはモニターで、彼らの命を懸けた疾走に喜怒哀楽を爆発させて、毎週の「競馬開... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 愛すべき名脇役、ホッカイルソー。不死鳥のごとく甦った生涯を振り返る 2023年10月23日 2023年10月20日。ダーレージャパンの公式X(旧ツイッター)が、ホッカイルソーの死去を発表した。31歳。年齢を考えれば大往生といえる生涯だった。 菊花賞の週に伝えられた訃報。それは、私にとってなにか運命を感じずにはいられないものだった。というのも、ホッカイルソーの存在をそれまでよりも強く感じはじめたのが、95年の菊... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る たくさんの夢を、満帆に受けて - 2012年菊花賞・ゴールドシップ 2023年10月21日 その日、淀の空は晴れ渡っていた。 ファンファーレに手拍子が重なってゆく。京都競馬場のメインスタンドをぎっしり埋めた大観衆の視線の先には、噴水がもたらすさざ波が銀色に瞬く水面。そのさらに先、向正面のターフの緑に、つるべ落としの秋の陽が、ゲートの、そして18組の人馬の影を長々と映し込む。 春の中山、そして初夏の府中を経た三... 枝林 応一
「名馬」を語る 桜が満開になった晩秋の淀~1987年菊花賞・サクラスターオー~ 2023年10月20日 テレビ放送が開始70年目を迎えた2023年、ゴールデンウイークの5月3日にNHKで「アナテレビ」という番組が放送された。この番組はアナウンサーにスポットを置いた番組で、高瀬耕造アナウンサー(NHK)や水卜麻美アナウンサー(日本テレビ)、安住紳一郎アナウンサー(TBSテレビ)、大下容子アナウンサー(テレビ朝日)、それに伊... おかの ひろのぶ
「名馬」を語る ブラックタイドとサクラバクシンオーの謎。2015年キタサンブラックの菊花賞 2023年10月20日 アニメのなかで、キタサンブラックがサクラバクシンオーにスプリント界へ誘われるという描写があった。当時の記憶を呼び覚ます絶妙な描き方に、ほんの少し苦みを感じたのは私だけだろうか。 ブラックタイドの価値 キタサンブラックの現役時代、その前半期は母の父サクラバクシンオーがついて回った。かくいう私自身、これにこだわり、痛い目に... 勝木 淳
それぞれの競馬愛 金色の“アイツ“に魅せられて〜『ゴールドシップ伝説』を読んで〜 2023年10月17日 「アタシと出会えてアンタの人生、面白くなっただろ?」 『ウマ娘』のゴルシちゃんこと、ゴールドシップの台詞である。これが全てだったのかもしれないと思う。ゲームがきっかけで馬という生き物を調べようと思った時、まず調べたのがゴールドシップであった。そして、思った。 ──ニンゲンみたいだな、この馬は。 本が好きで歴史が好きな私... シラユキ
「名馬」を語る 時代を象徴する"凄い牝馬"。メジロドーベルの挑戦を振り返る 2023年10月15日 いつの時代も、「凄い牝馬」がたびたび登場する。2歳のデビュー時から世代の頂点に立ち3歳牝馬三冠で名を残す牝馬、あるいは3歳時に惜しいレースを繰り返し古馬になってから大成する牝馬などなど…。凄い牝馬が、春秋のG1戦線で名シーンを演出している。 しかし古馬になってから牡馬・牝馬混合の中距離G1、2000m~2500mのレー... 夏目 伊知郎