「名勝負」を語る [2003年・神戸新聞杯]よもやの圧勝劇は後の大躍進への布石だったのか - ゼンノロブロイ 2021年9月23日 神戸新聞杯は、関西で行われる菊花賞の前哨戦である。2000年に菊花賞の施行時期が2週間繰り上がってからは、同じく菊花賞トライアルだった京都新聞杯がダービーの前哨戦として5月に施行時期を移行。そのため神戸新聞杯は関西で行われる唯一の菊花賞トライアルとなり、阪神競馬場の改修工事以降は距離も従来の2000mから外回りの240... 齋藤 翔人
それぞれの競馬愛 穏やかな名牝ラインクラフトへ -夭逝した彼女と、対照的な2頭のライバルたち 2021年9月20日 「さくら舞い散る中に忘れた記憶と、君の声がもどってくる」思い起こせばケツメイシのさくらという歌が流行ったとき、君は現役時代の最盛期を迎えようとしていたね。桜の舞台の残り300mで、君のギアがトップに入った。スケートリンクを滑るように抜け出した君の原動力は、天与のスピードだ。勝負が決まるゴール前でも、馬体からにじみ出るオ... へんてこでそーな
「名勝負」を語る さよならは言わないで サンアディユとカノヤザクラ 2021年9月12日 2006年JRAは北九州記念を芝1800mから1200mに変更、サマースプリントシリーズを創設した。セントウルSはその最終戦となり、これを制する馬がスプリントチャンピオンになることが多く、まさにひと夏の物語、その最終話だ。初代チャンピオンのシーイズトウショウに続き、2007年にここを勝ち頂点にたどり着いたのがサンアディ... 勝木 淳
それぞれの競馬愛 京成杯AHでマイルの世界レコードを叩き出した快速馬、レオアクティブ。その故郷を訪れて感じた競走馬の愛し方。 2021年9月10日 「あの子が賞金を持って帰ってきてくれたらね、小さなゲストハウスでも作ってこいつのファンの方とコーヒーでも飲みながらゆっくりお話ししたいな……って」 おじいさんはそう言葉にすると、温かく優しい笑顔を見せた。“あの子”とは当時はまだ競走馬としてのデビューを迎える前だった2歳の牝馬、そして“こいつ”とはその牝馬の半兄で201... ひでまさねちか
「名勝負」を語る 夏の終わりに火花を散らせ - 2018年札幌2歳S・ニシノデイジー&ナイママ 2021年9月4日 北海道の夏は、短い。 2018年の夏の終わりに行われたその戦いは、短い夏に、鮮烈な印象を焼き付けた。 札幌2歳ステークス。札幌競馬場での、ひいては北海道での中央競馬開催を締めくくるものであり、ひと夏の終わりを告げる伝統の2歳重賞だ。初代勝馬のリュウズキが皐月賞・有馬記念を制したことに始まり、後にダービー馬となったロジユ... 鳥野 紗々実
「名勝負」を語る First Love~2013年新潟2歳ステークス・ハープスター~ 2021年8月27日 天才と同時代に生きられるのは、幸運である。 たとえば、1998年にメジャーデビューした、宇多田ヒカルさん。翌1999年にリリースした初のアルバム「First Love」は、邦楽史上最高のセールスを記録し、日本音楽史に燦然と輝いている。 洗練されたメロディライン。その旋律に、叙情的に言葉を和合させていく歌詞。何よりも、比... 大嵜 直人
「名馬」を語る 栗毛の怪物と呼ばれた父の背中を追って - 2008年新潟2歳ステークス・セイウンワンダー 2021年8月25日 夏競馬の名物の一つに、ローカルの4つの競馬場で行われる2歳重賞があげられる。近年は、7月の函館2歳ステークスに始まり9月の小倉2歳ステークスで閉幕するスケジュールとなっているが、その中でも新潟2歳ステークスは日本一長い直線を有する新潟の外回り1600mで行われ、なおかつ施工時期も開催後半に行われているため、しばしば派手... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る [Rewind the race]琴乃音色~2014年・札幌記念~ 2021年8月22日 夏競馬の祭典ともいえる真夏のビッグレース「札幌記念」。 夏に力をつけた上り馬、G1でも結果を残す実力馬、海外を見据えるチャレンジャーなど多くの実力馬が北の大地で激突した。今回はフランス凱旋門賞を見据えた2頭のマッチレースが繰り広げられた2014年の札幌記念について振り返っていく。 2014年。約1年の休催を経て新たな北... ハラシュー
「名馬」を語る 「もう2度とひっくり返らないぞ、ジョッキーを落とさないぞ」。悲運の名馬・シゲルスダチの生涯を振り返る。 2021年8月22日 記録には残らなくても、人の記憶に残る名馬がいる。2015年に『優駿』の企画、「未来に語り継ぎたい名馬 BEST100」の中で、重賞未勝利の条件馬として唯一ランクイン(95位)した馬がいた。 その馬は、シゲルスダチ。2012年の3歳OPマーガレットSを勝利し、NHKマイルCにも出走した実力馬で、その芦毛の馬体と可愛らしい... ひでまさねちか
それぞれの競馬愛 トウショウオリオンへ - 虹の橋の向こうへの手紙 2021年8月21日 可愛い目をした馬だった。くりくりの真ん丸な目をした大きな馬体で、私と目が合うとズンズン歩いて迫ってくる。「はい、下がろうね~」と、後ろに下げられても、またズンズン。「下がるよ~」と、もう一度。真ん丸の琥珀色したオリオンの瞳。オリオンは私を見つめたまま、三度目のズンズンをした。 夏の名残りの9月上旬。私がオリオンとNPO... オラシオン