「名馬」を語る 「水を得て」一変した、アジサイの花のような馬~トーホウシャイン 2022年6月18日 こんな梅雨の時期に観たくなる映画がある。私が好きなのは『いま、会いにゆきます』という映画だ。小説が原作で2004年に公開された作品。亡くなったはずの妻が、梅雨の時期の6週間だけ現世に戻ってきて夫と子供と3人の共同生活を送るというストーリーだ。けれど、梅雨が明けてしまうと、また“あちらの世界”に帰ってしまうので、6歳の息... 並木 ポラオ
「名馬」を語る ウイニングチケット〜すべては、この熱き日のために〜 2022年5月29日 日本の、とある名騎手が言った。「ダービーを勝てたら、騎手を辞めてもいいというくらいの気持ちで臨む」 その騎手は後年、ダービーを勝った。さすがにすぐに騎手をやめることはしなかったが、リーディングジョッキーにも輝いたことのあるその騎手にそこまで言わせるダービーというレースは一体何なのだろうか──。 1780年、イギリスで創... ひでまさねちか
「名馬」を語る アドマイヤリード - 唸る豪脚、迸る根性 2022年5月15日 2022年……すでにこの世を去ってから7年が経ったというのに、現役最年少が7歳世代だというのに、ステイゴールドの直仔が国内外で躍動。現役時代からステイゴールド一筋四半世紀になんなんとする(多くのステイゴールドファンの皆様の末席を汚させていただいている)私にとって、これは夢かと頬をつねり上げる日々である。 4月の中山グラ... 枝林 応一
「名馬」を語る マイネルマックス - ブライアンズタイム産駒の当たり年で真っ先に輝き、長く挑戦を続けた不屈の名馬 2022年4月23日 読売マイラーズカップ(GⅢ)は2000年の競馬番組改定にて、従前の3月阪神開催から4月の阪神開催へと日程を変えて実施されるようになった(2012年からは4月の京都開催となる改定を実施、現状は京都競馬場改修中のため阪神にて開催)。3月開催だった時代にも、武幸四郎騎手(現調教師)の初勝利&初重賞制覇となった1997... 高橋薫
「名馬」を語る 色褪せない圧巻のパフォーマンス。ルドルフ以来、史上5頭目の三冠馬・ナリタブライアン。 2022年4月16日 三冠の重み 私が本格的に競馬を観始めたのは1983(昭和58)年ですから、いきなりミスターシービーという三冠馬に出会ったことになります。ところが翌年にはシンボリルドルフが続く……という、信じられないことが起きました。しかし私は、競馬の世界を知って僅か2年。まだ〝三冠馬〟の言葉の重みは実感できていませんでした。 今更なが... 和田章郎
「名馬」を語る セイウンコウセイ - 輝き、走り続けたスプリント界の「恒星」 2022年3月26日 何千年もの昔から、人は夜空を見上げ、そこに輝く星に想いを寄せてきた。 人は、その瞬きに想いを馳せ、その輝く形に想像力の翼を与え、そこに物語を乗せてきた。世の東西を問わず、星空が人の心を捉えてやまないのは、その輝きの美しさとともに、「そこに在り続ける」ことの尊さではなかっただろうか。 時間の流れを超越するように、常に輝き... 大嵜 直人
「名馬」を語る クリソライト - 「名馬の兄」で終われない。ダート長距離路線に燦然と輝く太陽の石。 2022年3月23日 ──2019年1月10日、一頭の競走馬が引退しました。 その馬の名前は「クリソライト」。そして彼は海を渡り韓国で種牡馬としての生活を始めることになります。 ジャパンダートダービー(JpnI)、コリアカップ(韓国GI)と国内外2つのビッグタイトル、妹にマリアライト、弟にはクリソベリル、叔父にはジャパンカップダート勝ち馬の... Shin
「名馬」を語る マイネレーツェル~いくつもの逆境を越えて~ 2022年3月13日 『競馬の楽しさを、すべての人へ』をモットーとして、馬券予想を掲載せずに運営されている競馬ポータル『ウマフリ』をご覧の皆さんであれば、おそらくその多くがターフを、砂上を駆けるサラブレッド一頭一頭に尊敬と愛情あふれる温かい眼差しを投げかけていらっしゃることだろう。そして、そのお一人お一人に「推し馬」がいるに違いない。 ──... 枝林 応一
「名馬」を語る サイコーキララ - クラシックは勝てずとも忘れられない、世代屈指の天才少女。 2022年3月13日 フェブラリーステークスが終わり、街のそこかしこで次の季節の兆しを感じ始めると、春競馬の季節がやってくる。春競馬といえば、なんと言ってもクラシックという人も多いだろう。 その幕開けに行われるのは、明け3歳のタレントたち、父母に名馬の名前をちりばめた良血たちを中心に、出世レースと呼ばれる条件戦や3歳限定重賞などを勝ち抜いて... 高橋薫
「名馬」を語る 稀代の名牝・シーザリオ - 受け継がれる血と、その記憶 2022年2月27日 「もし、これから先の人生で迷うことがあれば、自分の生まれた土地と、自分の血筋を調べてみるといいですよ」 還暦に近い、ある経営者の方から、酒席でそう言われたことがある。当時の私はといえば、二十代の半ばくらいだっただろうか。歳を重ねていくと、そんなこともあるのかなと聞いていた。 果たして十数年後、その方の言葉のとおりになっ... 大嵜 直人