可愛い目をした馬だった。くりくりの真ん丸な目をした大きな馬体で、私と目が合うとズンズン歩いて迫ってくる。「はい、下がろうね~」と、後ろに下げられても、またズンズン。「下がるよ~」と、もう一度。真ん丸の琥珀色したオリオンの瞳。オリオンは私を見つめたまま、三度目のズンズンをした。 夏の名残りの9月上旬。私がオリオンとNPO...
それぞれの競馬愛の記事一覧
先日、引っ越しの為に家の整理をしていたら一枚の紙切れを見つけた。 出走馬が確定した段階の競馬新聞のゲラと言った所か。そこに並ぶ懐かしい騎手や調教師の名前、アラブ系と言う言葉。これらを手掛かりに調べるとこれは1999年6月28日に行われたアラブ系A級ルビー特別の出走馬だとわかった。 今から22年前の、重賞でもないレースの...
──就職なんかしたくないなぁ。1998年の春、大学生だった私は就職活動の真っ只中だった。1990年初頭にバブルは崩壊し、山一証券が破綻したのが前年の1997年。世にいう「就職氷河期」だった。この年のオークスは、桜花賞の上位3頭、ファレノプシス、ロンドンブリッジ、エアデジャヴーをはじめ、阪神3歳牝馬S勝ちのアインブライド...
「ロードバクシン小牧太! 一気に先頭に立った! ロ〜〜〜ドバクシン、ゴールイン! ロードバクシンです。(中略)あっぱれ兵庫の馬!!!」──2001年兵庫チャンピオンシップ 吉田勝彦アナウンサー実況より サクラバクシンオーの産駒で後に兵庫三冠馬(園田ダービー、兵庫CS、菊水賞)となったロードバクシンが兵庫CSを制してから...
──昔の競馬は良かった。誰が言うもんかと思っていた言葉を、結局自分も使うようになった。これが歳を重ねるということなのだろうか。私が競馬に出会ったのは1995年。メジロマックイーンは2年前に引退していた。今どきの競馬ファンはどうかわからないが、競馬にハマると過去の名馬に思いを馳せる時期が来る。今のようにインターネットで何...
間違いなく、彼はその場に帰ってきた。 2013年の有馬記念。クラシック三冠馬であり、凱旋門賞でも二度の2着を経験した稀代の名馬オルフェーヴルの引退レースとして今も語り継がれる一戦で、その8馬身後ろの2着に入ったのがウインバリアシオンだった。影を踏むことすらできない、ぐうの音も出ない完敗。それでも彼にとっては大きな価値が...
同じ父、勝負服、鞍上。そして同じ毛色、同じくらいの体重。ここまで一致すると、よほどの有識者でない限りゼッケンを見るまでその馬の名前を特定することは困難なのではないだろうか。サングレーザーが紺のゼッケンをまとい、福永騎手を乗せているのを見たとき──私は、志半ばでターフを去った"あの馬"を思い出させた。 ディープインパクト...
日々、全力でしのぎを削る競走馬たち。競走馬には、常に怪我の危険性が付いて回ります。素質のある期待されていた馬が骨折で引退、人気の名馬が屈腱炎により長期離脱、さらには、より悲しい結末を迎えることも──。 しかし一方で、骨折という大怪我を乗り越え、競馬場に戻ってきた馬たちがいます。 そして中には、もう一度『復活勝利』をあげ...
日本では古来から、説明の付かない現象や奇異な伝承といったもの「7つをひとまとめ」にして七不思議と呼ぶことがある。単に説明が付かなかったり、科学的根拠の無いジョークやジンクスといったものも含めて、様々な界隈でささやかれる。当然、競馬の世界でもそういったことは言われているものだ。 「ノーザンテースト産駒の栗毛は、大成しない...
笠松駅は、名鉄名古屋本線の岐阜寄りに位置する。 名古屋駅から名鉄特急岐阜行きに乗ると、地下ホームから発車した電車はトンネルの暗闇を通って、すぐに明るい地上に出る。左側を並走する東海道新幹線を横目に、名鉄特急はぐいっと右へカーブしていく。 ほどなくして庄内川を渡ると、沿線がそのまま生活導線になっているような街並みを駆ける...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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