「名馬」を語る 燃えさかれ、この美しき想いよ〜女帝の娘・アドマイヤグルーヴ〜 2023年11月12日 悔しさは、時に、奥底に眠る才能を爆発させる。それは、人間に限らず、馬にも言えるのかもしれない。 あの"女帝"の娘として、デビュー前から大いに期待されていた牝馬がいた。しかしデビューすると、同期のライバルが牝馬三冠を達成、悔し涙を呑んだ。だがその涙は、決して無駄ではなかった──。 その牝馬の名は、アドマイヤグルーヴ。"グ... シラユキ
「名馬」を語る ファレノプシス - 二冠牝馬の復活、そして架空の名馬の"母"へ。 2023年11月11日 1.名馬の「母」ファレノプシス 私がファレノプシスという馬の名を認識したのは、ある「名馬」の「偉大なる母」としてである。このように書くと、「姉」の誤字ではないかと訝る競馬ファンが殆どだろう。ファレノプシスはダービー馬キズナの半姉としても有名である一方で、母としては重賞馬を出しているわけでもないからだ。しかし、「母」で間... 縁記台
「名馬」を語る 天へと駆けていった戦友 - トウショウナイト 2023年11月5日 彼が走っていたのはもう15年以上も前だから、ずいぶんな昔話になってしまう。トウショウナイト。気が強くて、不器用で、難しくて、闘志に溢れた武士沢友治騎手の最愛の相棒である。 彼が天に召されたのは2008年。7歳の春。 大目標である天皇賞・春を4日後に控えた最終追い切り。武士沢騎手を背にした彼は、残り200m地点で右前脚に... norauma
「名馬」を語る 「大井の外回りには夢がある」 - 2007年JBCスプリント・フジノウェーブ 2023年11月2日 京浜運河の向こうを走るモノレール 「アツシ、大井の1200は面白れぇぞ」 築地市場に勤めていた時分のこと。小さいころからよく知る兄貴分に大井に誘われた。もちろん、大井にはそれ以前から何度も足を運んでいたが、築地で働くようになると、地方競馬を勧められる回数が増えた。早朝から働き、土曜日も仕事がある築地では、地方競馬を愛す... 勝木 淳
「名馬」を語る エーデルワイス賞を制覇し、地方2歳女王に。レース中の怪我でこの世を去った悲運の実力派、アークヴィグラスの思い出 2023年11月1日 将来を嘱望される多くの馬が、その未来を見据え、芝ダート問わず本格始動する秋。激化するクラシック路線や古馬路線の戦い──そして2歳路線もまた、翌年のスター候補が続々と姿を現し、師走の夢舞台への期待が大きく高まっていく時期である。 芝路線ではサウジアラビアRCを皮切りに、皐月賞や桜花賞、そしてその先の府中を目指し様々な重賞... 小早川 涼風
「名馬」を語る 父から受け継いだタフさで39戦を走り抜けて - メイショウサムソン産駒・デンコウアンジュ 2023年10月28日 無事之名馬、メイショウサムソンの記憶 私が競馬を意識し始めたころに応援していたのは、メイショウサムソンであった。 皐月賞、ダービーの二冠制覇をリアルタイムで目の当たりにしたことは記憶に無いものの、2007年天皇賞(秋)でのパフォーマンスに衝撃を受けたのは覚えている。最内で逃げるコスモバルクの背後にピッタリ付け、直線に入... かんちゃん
「名馬」を語る 愛すべき名脇役、ホッカイルソー。不死鳥のごとく甦った生涯を振り返る 2023年10月23日 2023年10月20日。ダーレージャパンの公式X(旧ツイッター)が、ホッカイルソーの死去を発表した。31歳。年齢を考えれば大往生といえる生涯だった。 菊花賞の週に伝えられた訃報。それは、私にとってなにか運命を感じずにはいられないものだった。というのも、ホッカイルソーの存在をそれまでよりも強く感じはじめたのが、95年の菊... 齋藤 翔人
「名馬」を語る 桜が満開になった晩秋の淀~1987年菊花賞・サクラスターオー~ 2023年10月20日 テレビ放送が開始70年目を迎えた2023年、ゴールデンウイークの5月3日にNHKで「アナテレビ」という番組が放送された。この番組はアナウンサーにスポットを置いた番組で、高瀬耕造アナウンサー(NHK)や水卜麻美アナウンサー(日本テレビ)、安住紳一郎アナウンサー(TBSテレビ)、大下容子アナウンサー(テレビ朝日)、それに伊... おかの ひろのぶ
「名馬」を語る ブラックタイドとサクラバクシンオーの謎。2015年キタサンブラックの菊花賞 2023年10月20日 アニメのなかで、キタサンブラックがサクラバクシンオーにスプリント界へ誘われるという描写があった。当時の記憶を呼び覚ます絶妙な描き方に、ほんの少し苦みを感じたのは私だけだろうか。 ブラックタイドの価値 キタサンブラックの現役時代、その前半期は母の父サクラバクシンオーがついて回った。かくいう私自身、これにこだわり、痛い目に... 勝木 淳
「名馬」を語る 時代を象徴する"凄い牝馬"。メジロドーベルの挑戦を振り返る 2023年10月15日 いつの時代も、「凄い牝馬」がたびたび登場する。2歳のデビュー時から世代の頂点に立ち3歳牝馬三冠で名を残す牝馬、あるいは3歳時に惜しいレースを繰り返し古馬になってから大成する牝馬などなど…。凄い牝馬が、春秋のG1戦線で名シーンを演出している。 しかし古馬になってから牡馬・牝馬混合の中距離G1、2000m~2500mのレー... 夏目 伊知郎