──ツイてる日とツイてない日。 生きていれば毎日を、この二通りのどちらかに当てはめることができる。 私は特に縁起担ぎや占いを信じるタイプではないと思っている。しかし日によっては、自分が決断したものが裏目に出たりすると"ツキの無さ"を嘆くことが多々ある。そして"今日は運気下降の日"と決めつけてしまう。 人間と同じく、馬た...
コラム・エッセイ
コラム・エッセイの記事一覧
悔しさは、時に、奥底に眠る才能を爆発させる。それは、人間に限らず、馬にも言えるのかもしれない。 あの"女帝"の娘として、デビュー前から大いに期待されていた牝馬がいた。しかしデビューすると、同期のライバルが牝馬三冠を達成、悔し涙を呑んだ。だがその涙は、決して無駄ではなかった──。 その牝馬の名は、アドマイヤグルーヴ。"グ...
1.名馬の「母」ファレノプシス 私がファレノプシスという馬の名を認識したのは、ある「名馬」の「偉大なる母」としてである。このように書くと、「姉」の誤字ではないかと訝る競馬ファンが殆どだろう。ファレノプシスはダービー馬キズナの半姉としても有名である一方で、母としては重賞馬を出しているわけでもないからだ。しかし、「母」で間...
彼が走っていたのはもう15年以上も前だから、ずいぶんな昔話になってしまう。トウショウナイト。気が強くて、不器用で、難しくて、闘志に溢れた武士沢友治騎手の最愛の相棒である。 彼が天に召されたのは2008年。7歳の春。 大目標である天皇賞・春を4日後に控えた最終追い切り。武士沢騎手を背にした彼は、残り200m地点で右前脚に...
2001年にスタートした『JBC競走』は、すっかり関係者やファンに定着。「地方競馬の祭典」や「ダート競馬の祭典」、「下半期のダート王者決定戦」といわれるようになった。当初は「スプリント」と「クラシック」の2競走でスタートしたが、2011年に「レディスクラシック」が創設。2020年からは「2歳優駿」がスタートし、年々と規...
京浜運河の向こうを走るモノレール 「アツシ、大井の1200は面白れぇぞ」 築地市場に勤めていた時分のこと。小さいころからよく知る兄貴分に大井に誘われた。もちろん、大井にはそれ以前から何度も足を運んでいたが、築地で働くようになると、地方競馬を勧められる回数が増えた。早朝から働き、土曜日も仕事がある築地では、地方競馬を愛す...
将来を嘱望される多くの馬が、その未来を見据え、芝ダート問わず本格始動する秋。激化するクラシック路線や古馬路線の戦い──そして2歳路線もまた、翌年のスター候補が続々と姿を現し、師走の夢舞台への期待が大きく高まっていく時期である。 芝路線ではサウジアラビアRCを皮切りに、皐月賞や桜花賞、そしてその先の府中を目指し様々な重賞...
あの日、僕らは沈黙に包まれた。言いようのない感情に心が支配された。 1998年11月1日、1枠1番1番人気、サイレンススズカ。府中の魔物に飲み込まれ、スピードの向こう側へと駆けて逝った瞬間を陳腐な表現で語るなら、絶望、悲愴、喪失感。それまで彼の勝利を、活躍を願っていとわなかった我々の想いは、一瞬にして飲み込まれた。 そ...
無事之名馬、メイショウサムソンの記憶 私が競馬を意識し始めたころに応援していたのは、メイショウサムソンであった。 皐月賞、ダービーの二冠制覇をリアルタイムで目の当たりにしたことは記憶に無いものの、2007年天皇賞(秋)でのパフォーマンスに衝撃を受けたのは覚えている。最内で逃げるコスモバルクの背後にピッタリ付け、直線に入...
いわゆる"ライバル対決"は、スポーツにおける醍醐味の1つである。特に競馬の場合、動物(馬)であるが故に不可抗力・偶発的な出来事が多い。それらも含めた積み重ねの上でライバル対決が実現するからこそ、競馬ファンはライバル対決に魅了されるのであろう。 さて、皆様は競馬界のライバル対決といえば、どの馬たちのどのレースを思い浮かべ...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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[重賞回顧]いざ、新時代へ! 復活を遂げたレガレイラが偉業を達成~2024年・有馬記念~
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