「名勝負」を語る それぞれのダービー、それぞれの人生。第83回 日本ダービー(2016年) 、マカヒキと川田将雅騎手の涙の勝利を振り返る 2024年5月26日 すべては、この熱き日のために 「今日はダービーめでたいな」という有名な歌詞があるが、ダービーの日はめでたい。なぜならその日に新たなダービー馬が誕生し、また新たなダービーの歴史が誕生するからである。仮に騎手や調教師、オーナーたちにとっては2度目以降の制覇だとしても、それもまた快挙達成の瞬間であり、めでたいことに変わりはな... ムラマシ
「名馬」を語る ミホノブルボン「最後の400m」/1992年東京優駿 2024年5月24日 「努力なくして成功無し、努力に勝る天才無し」 出来るだけ楽に生きていこうとする怠け者の私には、耳の痛い言葉である。 1992年の私は、本社の広告宣伝部へ異動になって3年目。担当する業務の難易度がどんどん高まり、1週間8時間×5日勤務では追いつかない位になっていた頃だった。当然、定時を過ぎても残業が当たり前の状態で、と... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 無敗の三冠牝馬、デアリングタクト。彼女からもらった勇気。 2024年5月10日 私が"史上初・無敗の三冠牝馬"であるデアリングタクトを思い出すとき、まっさきに浮かぶ光景がある。それは彼女が無敗の三冠を達成した秋華賞ではない。 私にとって、最も強烈な印象を残したのは、400日ぶりに復帰したヴィクトリアマイル、本馬場入場のワンシーンである。 コロナ禍によって奪われた我々の歓声。その分まで届けるかのよう... 吉田 梓
「名勝負」を語る 「これ、負けるヤツなのに…」 穴屋も腰を抜かした競馬を見せた、藤岡康太騎手・ジョーカプチーノのNHKマイルカップ 2024年5月2日 競馬には色々な格言、定石というものがある。スローペースなら先行馬。ハイペースなら差し警戒。そんな展開読みから導く優位な位置取りもそのひとつ。そして、展開、つまり流れを読むのは競馬において非常に大切だ。騎手のコメントには「緩い馬場で走りにくそうだった」「もう少し流れてくれれば」といった馬場や流れを敗因に挙げる場合が多い。... 勝木 淳
それぞれの競馬愛 たった一頭で挑んだ地方馬。20年かしわ記念で強敵相手に戦ったナンヨーオボロヅキ 2024年5月1日 年間に約60レース。地方競馬の意地、中央競馬の誇りが激突するのがダートグレード競走だ。 1995年のいわゆる「交流元年」。制度改革によって中央・地方間の連携が強化されると、97年にはダートグレード競走がスタートを切った。G1〜G3まで、中央・地方で共通した格付けが与えられ、所属の枠を超えた戦いが全国で繰り広げられるよう... 中川兼人
「名馬」を語る 2018年、天皇賞春。最後の一完歩を耐え切り、掴んだ『未来』 - レインボーライン 2024年4月28日 淀の直線、最後の一完歩…。 鞍上の巧みな手綱さばきで馬群を縫い上げたレインボーラインは、粘るシュヴァルグランを内から交わし、歓喜のゴールに飛び込んだ。 2018年4月29日。私を競馬に引きずり込んだステイゴールドの、その産駒として3頭目となる春の天皇盾を、レインボーラインと岩田康誠騎手がつかみ取った瞬間だった。 私がい... 枝林 応一
「名馬」を語る [競馬エッセイ]関東の刺客と呼ばれたライスシャワーの歩み 2024年4月27日 「俺はなあ、ライスシャワーが大好きなんだよ」。 生ビールをぐびぐびと飲み干したその男は、顔をくしゃくしゃにしながらそう言った。絵に描いたような”オジサン”の姿である。カラオケボックスと接続すれば浜田省吾の名曲がエンドレスで流れてきそうな男である。大学を卒業して早や35年、それ以来数えるほどしか会っていないのだが、ぼくは... 高橋薫
「名勝負」を語る 「長距離で逃げ馬を自由にしてはいけない」を体現した歴史的な大逃げ。イングランディーレと横山典弘騎手の2004年・天皇賞春を振り返る 2024年4月27日 競馬界には色々と"格言"があるが、長距離のレースにも幾つかの格言はある。その一つは『長距離で、逃げ馬を自由にしてはいけない』。そんな格言を体現するような走りを見せた馬がいる。彼の名前はイングランディーレ、そして鞍上は横山典弘騎手。 3200m戦の天皇賞春は、言わずと知れた古馬混合G1最長の長距離レースである。スタミナ自... 朱鷺野 真一郎
「名勝負」を語る 『クビ差』届かなかった東京優駿出走の夢/2013年青葉賞3着ラストインパクト 2024年4月26日 「東京優駿出走」の重さ 生涯ただ一度だけ出走することができる東京優駿の出走枠は「18」。 前年6月にスタートしたクラッシックロードを戦い抜き、ようやくスタートラインに立つことが出来るのが、18頭である。そこまでの過程には、『能力』だけでなく『運』も伴わないと辿り着くことができない。 「ダービーでビリの18着といっても、... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 私に競馬の新たな魅力を教えてくれた記憶に残る名馬、ペルーサ 2024年4月26日 キラキラのエリート街道をひた走った3歳春 ペルーサは、父ゼンノロブロイと同じ名門・藤沢和雄厩舎に所属し、デビュー戦・条件戦・若葉ステークス・青葉賞と一気に4連勝。明るい栗毛で、500kgを超える立派な馬体も目を引いた。 一躍、日本ダービーの有力馬となった彼は、キラキラのエリート街道をひた走っていた。 数々の名馬と国内外... 稲庭うどん