「名勝負」を語る 19万6517人と、無観客〜それぞれのダービーに寄せて〜 2020年5月25日 その瞬間、その場所にいたことが、のちに密かな自慢になることがある。そして、誰かが同じ経験をしたと聞くと、妙な親近感を覚えて嬉しくなる。「おや、あなたもそこにいたんですか。実は、私もそこにいたんですよ」と。それは、魂を揺さぶる音楽だったり、スポーツの生むカタルシスだったり、あるいは身近な人の夢が形になった瞬間だったりする... 大嵜 直人
コラム・エッセイ レース回顧 [重賞回顧]第27回平安S〜猛者からの試練“11秒7”〜 2020年5月25日 上半期ダートグレードの大一番帝王賞の前哨戦、平安S。ダート界のトップレベルへの挑戦に向け『新興勢力』同士の争いになる傾向があったレースだが、今年は春先のドバイミーティング中止の影響もあってか、オメガパフュームとゴールドドリームというGⅠ馬が名を連ねた。ダートグレードや海外遠征など選択肢が多いダート界では、フェブラリーS... 勝木 淳
それぞれの競馬愛 忘れられない、1999年オークスでの出来事〜私がウメノファイバーを応援した理由〜 2020年5月23日 馬券運と恋愛運は、反比例する。 若い頃、こんな法則があるのではと、競馬仲間と話していた。つまり、競馬も恋愛も両方が上手くいくということは極めて稀で、どちらかが良ければどちらかが悪くなってしまう。 もちろん、科学的な根拠なんてあるわけがない。強いて挙げるなら「博打と恋愛と両方で良い思いをするなんて虫が良すぎる」と神様の逆... 並木 ポラオ
「名勝負」を語る 伝説の始まり〜2012年オークス・ジェンティルドンナ〜 2020年5月22日 予想を外すことは私にとって日常茶飯事であるが、自信をもって本命から外した馬に圧勝されるときはさすがにショックを受ける。特に、その馬が直線に入って早い段階で勝負を決めてしまったときほどこの衝撃は大きくなり、レース後立ち尽くすこともしばしばだ。ほんの数秒前まで持っていた、自らの予想への絶大の自信は音を立てて崩れ去り、ゴール... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る [Rewind the race]神秘之石~2016年オークス~ 2020年5月19日 2016年春の3歳牝馬戦線は「3頭」の実力馬を中心に回っていたように思う。阪神ジュベナイルフィリーズを制したメジャーエンブレム、シンザン記念で牡馬相手に素晴らしいパフォーマンスを見せたジュエラー、そして無敗でトライアルを勝利したシンハライト。レーススタイルや馬の強みもそれぞれ違うこの3頭のぶつかり合いに、競馬ファンは注... ウマフリライター
「名馬」を語る エイシンヒカリ〜ディープ産駒の『異能の馬』〜 2020年5月18日 ディープインパクト産駒といえば。キズナ、ジェンティルドンナといった馬が、最終直線、父を彷彿とさせる末脚でレースを逆転し勝利をつかむ──というイメージが強い。代表産駒に数えられるような名馬でなくとも、ディープインパクトの子どもは総じて「前半はゆっくり、後半を速く走る」というレースが得意だ。 しかし、なかにはディープインパ... 勝木 淳
「名馬」を語る モーリス~遅れて咲いた、メジロの大輪~ 2020年5月17日 人がやれていることができず、失敗を繰り返しながら成功する。人生はトライ&エラー。ハナから成功するような人はほんのひと握りであり、大抵の場合、挑戦しては失敗し、そこから学んだことを次の挑戦に生かす。それでも、別の問題で失敗する。生き続けている以上、トライ&エラーは終わらない。 だが、その繰り返しはいつか必ず実を結ぶ。大事... 勝木 淳
「名馬」を語る ウオッカ〜澄んだ青空が紡いだ襷〜 2020年5月16日 2007年5月27日。この日、この時、私はテレビを前にして初めての衝撃を覚えた。 逃げるアサクサキングスを残り200で捉え、豪快に突き抜け世代の頂点に立つ1頭の牝馬。澄んだ青空、鞍上の右手が高々と上がった水色の襷の黄色い勝負服。漆黒の雄大な馬体。彼女が成し遂げたのは「64年ぶりの牝馬によるダービー制覇」という快挙だった... KOBA
「名馬」を語る 華麗に咲き誇れ!師弟で挑んだG1レース~川島信二騎手に託した、1人のファンの思い出〜 2020年5月16日 師匠と弟子。 この響きに、どんなイメージを持つだろうか。 競馬以外の話になってしまうけれど、私が愛して止まないダーツには師匠が居る。師匠と出会う前もダーツはしていたものの、今考えるとムチャクチャでありえないフォームで投げたり、定石を無視した攻め方をしていたように思う。私の仕事はダーツをすることではない。矢でサラリーをも... 並木 ポラオ
「名馬」を語る 明日を夢見た彗星~シングンマイケル~ 2020年5月15日 2019年12月21日、中山大障害。難関・大竹柵や大生垣を飛越していく人馬に歓声が上がる。そしてレース後には、全人馬の無事完走を労う拍手が湧き起こった。その激戦を制し、祝福を一身に浴びる優勝馬はシングンマイケル。鞍上は金子光希騎手であった。「障害競走って、いいな」人馬を前にそんな事を思う、いつもの暖かい光景。障害競走で... 川井 旭