「名馬」を語る 愛すべき名脇役、ホッカイルソー。不死鳥のごとく甦った生涯を振り返る 2023年10月23日 2023年10月20日。ダーレージャパンの公式X(旧ツイッター)が、ホッカイルソーの死去を発表した。31歳。年齢を考えれば大往生といえる生涯だった。 菊花賞の週に伝えられた訃報。それは、私にとってなにか運命を感じずにはいられないものだった。というのも、ホッカイルソーの存在をそれまでよりも強く感じはじめたのが、95年の菊... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る たくさんの夢を、満帆に受けて - 2012年菊花賞・ゴールドシップ 2023年10月21日 その日、淀の空は晴れ渡っていた。 ファンファーレに手拍子が重なってゆく。京都競馬場のメインスタンドをぎっしり埋めた大観衆の視線の先には、噴水がもたらすさざ波が銀色に瞬く水面。そのさらに先、向正面のターフの緑に、つるべ落としの秋の陽が、ゲートの、そして18組の人馬の影を長々と映し込む。 春の中山、そして初夏の府中を経た三... 枝林 応一
「名馬」を語る 桜が満開になった晩秋の淀~1987年菊花賞・サクラスターオー~ 2023年10月20日 テレビ放送が開始70年目を迎えた2023年、ゴールデンウイークの5月3日にNHKで「アナテレビ」という番組が放送された。この番組はアナウンサーにスポットを置いた番組で、高瀬耕造アナウンサー(NHK)や水卜麻美アナウンサー(日本テレビ)、安住紳一郎アナウンサー(TBSテレビ)、大下容子アナウンサー(テレビ朝日)、それに伊... おかの ひろのぶ
「名馬」を語る ブラックタイドとサクラバクシンオーの謎。2015年キタサンブラックの菊花賞 2023年10月20日 アニメのなかで、キタサンブラックがサクラバクシンオーにスプリント界へ誘われるという描写があった。当時の記憶を呼び覚ます絶妙な描き方に、ほんの少し苦みを感じたのは私だけだろうか。 ブラックタイドの価値 キタサンブラックの現役時代、その前半期は母の父サクラバクシンオーがついて回った。かくいう私自身、これにこだわり、痛い目に... 勝木 淳
それぞれの競馬愛 金色の“アイツ“に魅せられて〜『ゴールドシップ伝説』を読んで〜 2023年10月17日 「アタシと出会えてアンタの人生、面白くなっただろ?」 『ウマ娘』のゴルシちゃんこと、ゴールドシップの台詞である。これが全てだったのかもしれないと思う。ゲームがきっかけで馬という生き物を調べようと思った時、まず調べたのがゴールドシップであった。そして、思った。 ──ニンゲンみたいだな、この馬は。 本が好きで歴史が好きな私... シラユキ
「名馬」を語る 時代を象徴する"凄い牝馬"。メジロドーベルの挑戦を振り返る 2023年10月15日 いつの時代も、「凄い牝馬」がたびたび登場する。2歳のデビュー時から世代の頂点に立ち3歳牝馬三冠で名を残す牝馬、あるいは3歳時に惜しいレースを繰り返し古馬になってから大成する牝馬などなど…。凄い牝馬が、春秋のG1戦線で名シーンを演出している。 しかし古馬になってから牡馬・牝馬混合の中距離G1、2000m~2500mのレー... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 逆転の秋 - エアメサイア 2023年10月15日 清秋の京都開催を迎え、本格的なG1シーズンが到来すると競馬場のボルテージは俄然高まる。京都大賞典を皮切りにファンは毎週のように列を為し、開門と同時に我先にと思い思いの特等席に急ぎ足で歩を進める。 南東を向いたスタンドに座って眩しい朝日を真正面から浴び、煌めく水面に目を細めながらターフビジョンで放映される過去のVTRを眺... norauma
競馬と「エンタメ」 レディバグ号と「ミラキュラス レディバグ&シャノワール」の不思議な関係 盛岡編 2023年10月14日 3連休の最終日、10月9日盛岡競馬場最終レースは第36回マイルチャンピオンシップ南部杯。秋の日はつるべ落とし。発走時刻18時15分、競馬場の空は黒く、薄暮というよりナイターに近い。日中の太陽に照らされて輝くサラブレッドはアスリートらしい健康的な眩さに満ちているが、闇夜のなか、カクテル光線が映し出す馬体はどこか神秘的で、... 勝木 淳
「名馬」を語る 「挫折」と「栄光」を味わった初代"秋華賞馬"ファビラスラフイン 2023年10月13日 これまで名牝と呼ばれ活躍した馬は多数いるが、中には引退後に“走る産駒”を残して名牝と呼ばれるケースもある。 その2つの要素を兼ね備えた馬として、真っ先に思い出されるのがエアグルーヴ、という方も多いだろう。 そんなエアグルーヴは、母仔二代でオークス制覇、母としてはアドマイヤグルーヴやルーラーシップを生み、その血はドゥラメ... 真実 良
「名勝負」を語る ウオッカに勝つ。追撃のスーパーホーネット - 2008年・毎日王冠 2023年10月7日 毎日王冠というレースは、府中の杜に秋を運んでくる。 新緑の府中が放つエネルギーは瑞々しく、府中駅から大國魂神社を通り、競馬場へ向かう道は、世界は前方にしか存在しないと錯覚させる。しかし、同じ緑のいちょう並木であっても、秋は違う。ひと夏を越えた緑は心なしか沈み、次の黄色へ移ろうかと悩みはじめているようだ。色づく道は、世界... 勝木 淳