取材で厩舎関係者の話に耳を傾けると、自分が知らなかったこと、勘違いしていたこと、わからなかったことに気づき、競馬は、外ラチの向こうとこちらで見える景色がまるで違うことを実感する。共通の体験がない私たちは向こう側を想像する術がなく、多くは勘違いだったりもする。外ラチは単なる白い柵ではない。見えない結界のようなものだ。だか...
「名馬」を語るの記事一覧
NHKマイルCと日本ダービーという変則二冠という発想はマツクニローテとも呼ばれ、2000年代前半のトレンドでもあった。GⅠからGⅠへというローテは現在も主流だが、マツクニローテはそんな主流とは一線を画す。なにせ中2週で日本ダービーに挑むのだ。プリンシパルSと同じ間隔で、それも春のマイル王決定戦を戦っての中2週は今では考...
ファンに愛され、一際多くのエールを浴びる馬がいる。 例えばキセキ。 競馬史に残る屈指の不良馬場で行われた菊花賞を泥んこになりながら先頭で駆け抜けた彼は、雄大すぎるほどのフットワークで国内外の競馬場を駆け抜け、持ち前の高いフィジカルを活かし、多くの名勝負の立役者となった。 菊花賞以降の4年間で遂に勝利を挙げることはなかっ...
1999年の競馬について記憶をたどってみる。 最近、書籍の仕事でこうやって昔の競馬について調べる機会が増えた。この頃の私はいわゆる新米競馬ファン。単勝10倍の馬の勝利に「荒れましたね」なんて訳知り顔をしてしまう初心者であり、日曜日のメインレースだけ参加するようなライトな層に属していた。もちろん、記憶がないわけではないが...
1990年代初頭。オグリキャップがもたらし、メジロマックイーン、トウカイテイオー、ビワハヤヒデ、ナリタブライアンらが襷を繋ぐ競馬ブームの裏で、日本馬による海外遠征の気運は落ち込んでいた。 それまで、ハクチカラの快挙以降、日本を代表する数々の名馬が新たな戦果を持ち帰らんと海を渡り、挑戦を繰り返していた。望むような成果は得...
21世紀が始まった2001年は日本競馬にとって大きな節目となる一年だった。 1990年代後半、日本調教馬で初めて凱旋門賞で2着に入ったエルコンドルパサーやグランプリ3連覇を果たしたグラスワンダーを筆頭に外国産馬が躍進。日本競馬の勢力図を塗り替える勢いであった。 「強い馬同士の闘いが見たい」あるいは「外国産馬が出ないで本...
オネエサンが初めて競馬を見たのは東京競馬場で、それもいちばん高い席からだった。 「先生」と呼ばれる人のエスコートのもと、特別な出入り口から入って、一番高いフロアまで連れられてきた。初めて見たのが1998年、エルコンドルパサーのNHKマイル。『コンドルは飛んでいく』、歌と同じ名前だと後から知った。 先生と知り合ったきっか...
1.「16年生まれ世代のマイル王者」アドマイヤマーズ。 「2016年生まれのマイル王者と言えば?」という問いを競馬ファンに投げかけたとき、多く返ってくる答えは「グランアレグリア」という名前かもしれない。安田記念・マイルチャンピオンシップ・ヴィクトリアマイルと3つの古馬芝マイルG1を完全制覇するなどG1を6勝。2年連続で...
かつては毎年のようにフェアプレー賞を受賞し、特別模範騎手賞を2度も受賞。大レースを次々と勝利した名ジョッキー、藤田伸二騎手。その名手・藤田騎手がデビューから引退までの全21戦に乗り続けた競走馬がいた。 冠名にフランス語で愛と名付けられたヒルノダムール。 その馬名の通り、多くの愛を受けながら、長距離界の頂点に立った。そし...
逃げ馬とは、どうしてこんなにも魅力的なのだろう。 サイレンススズカ、ツインターボ、メジロパーマー、パンサラッサ……どれだけ時間が経っても、瞼を閉じると破天荒な彼らの姿をすぐに浮かべることができてしまう。 最後の最後に先頭にいた者が栄冠に輝く競馬という種目において、迫る後続と絶えず鍔迫り合い、力の一滴まで絞りつくして勝利...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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[重賞回顧]雪辱vs雪辱の死闘を制したマッドクールが、待望のGⅠ初制覇~2024年・高松宮記念~
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