競馬は私たちに、さまざまなドラマを見せ、感動を与えてくれる。他馬を寄せ付けない圧倒的な強さを見た時、ライバルとの接戦を制する熱い勝負を見た時、強き者しか掴めない大記録の達成に立ち会った時──。 多くの人が感動を覚える瞬間といえば、やはり大きな舞台での出来事が多いだろう。大きなレースになれば実力屈指の馬たちが揃い、観戦す...
それぞれの競馬愛の記事一覧
2024年3月10日、一人の男がターフに別れを告げた。 武士沢友治(46)、1997年デビューのベテラン騎手である。 突然の発表だった。3月3日の中山1Rカシマエスパーダで今年2勝目をあげ、この馬は武士沢騎手と共に今後の活躍が期待できそうだと思わせるほどのレースぶりだった。その矢先、3日後に発表された『引退』の文字。競...
埼玉県羽生市、さいたま市街中心地から車で2時間ほどの長閑な場所に、『Horse Space 紡』という、馬のための場所がある。 近年、ニュースや関係者による発信により、引退競走馬への関心が広がっている。それに伴い、実際に競走馬生活を終えた馬たちを受け入れ、セカンドキャリアへ送り出すことを目指す活動も増加した。 しかし、...
うるう年の悪戯 例年、2回中山、1回阪神開幕週、つまり2月最後の開催は別れを告げる日だ。秋山真一郎騎手や川島信二騎手が最後の騎乗を終えた。3月1週目から新人騎手が競馬場で躍動し、出会いの季節へ移っていく。ところが、調教師の引退は一週遅く、3月最初の開催は新人騎手のデビューと引退する調教師が交錯する。実は2020年から引...
桜花賞トライアル、チューリップ賞。 3着までに、3歳牝馬にとっての大一番・桜花賞の優先出走権が与えられます。 今回は、私の個人的な"チューリップ賞の楽しみ方"についてお話したいと思います。 3歳の女の子が桜花賞出走を目指して臨むレース。出走するからには1着が望ましいとは思います。それはわかっているものの、ある時ふと、こ...
「カツハルが乗ると、馬が楽しそうだよな」。 若い頃、ウインズ錦糸町の東館6階で福島競馬を観ていた私に60歳前後のベテランがそう話しかけてきた。 最近、競馬場でもウインズでも知らない人に話しかけられる機会は減った。自分が年齢を重ねたからだろうか。それとも時代へ変遷というものだろうか。私が若い頃、ウインズに行けば、ほぼ必ず...
「アタシと出会えてアンタの人生、面白くなっただろ?」 『ウマ娘』のゴルシちゃんこと、ゴールドシップの台詞である。これが全てだったのかもしれないと思う。ゲームがきっかけで馬という生き物を調べようと思った時、まず調べたのがゴールドシップであった。そして、思った。 ──ニンゲンみたいだな、この馬は。 本が好きで歴史が好きな私...
拝啓、オルフェーヴルさま 先日、あなたがかつてのパートナー池添謙一騎手と再会する動画を目にしました。現役時代、17回も背中に乗せた池添騎手に前蹴りに行こうとしていましたね。今年で15歳だというのに、いたずらっ気の強いやんちゃなところはまだまだ収まっていませんか? いくつになっても自分らしくあり続けるあなたが少し羨ましく...
温和な笑みを携えて颯爽と馬に跨ると、「怖くないかい」「がんばろうね」と語り掛けるように何度も優しく優しく愛撫する。パドックを周回し、本馬場入場を終え、ゲートに向かい、レースを駆け抜け、そして引き上げる…その一連の中で、彼の周りには暖かく穏やかな光が射しているように思える──。 それが、酒井学騎手だ。 彼が競馬場で見せる...
2015年10月25日菊花賞 秋の傾く日差しの中、未知なる距離に挑む若駒たちが一団で駆け抜ける。その馬群のなか、キタサンブラックは懸命に前を追わないように気持ちを静めようと踏ん張っていた。この頃のキタサンブラックは前半で我慢する走りを教え込まれ、いわゆるオーソドックスな競馬を目指した。武豊騎手が表現する「1番手を走る」...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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[重賞回顧]鮮やかな追込みを決めたニシノエージェントが、クラシック戦線に堂々と名乗り!~2025年・京成杯~
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[重賞回顧]キズナ産駒リラエンブレムが、デビュー2連勝で出世レースを突破!~2025年・シンザン記念~
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[重賞回顧]復活と希望の勝利!北村友一騎手とクロワデュノールがホープフルSを制覇~2024年・ホープフルS~
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[重賞回顧]いざ、新時代へ! 復活を遂げたレガレイラが偉業を達成~2024年・有馬記念~
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[重賞回顧]ニュースター誕生! 見惚れるほどの圧勝劇~2024年・朝日杯フューチュリティステークス~
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[重賞回顧]世界を完封! 主役はやはり日本総大将~2024年・ジャパンカップ~
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[重賞回顧]最速の母”ラッシュ”から魂の”ラッシュ”へ、鞍上が繋ぐ悲願成就!~2024年・マイルCS~