「名勝負」を語る 白い"奇跡の馬"が復活した日 - 2009年クイーン賞・ユキチャン 2021年11月30日 年の終わりを感じさせる冬。 我々競馬民にとっては有馬記念が見えてくると年の終わりを感じ始め、東京大賞典が始まる頃にはいよいよ差し迫った年の瀬を迎えた気持ちになりつつ、その年のラストは東京2歳優駿牝馬で迎える……という人も多いのではないだろうか。 そんな12月、中央競馬の開幕G1はチャンピオンズCというダート王座決定戦で... 小早川 涼風
「名勝負」を語る それは、必然の勝利。ディープ牝馬ショウナンパンドラが、強豪牡馬を撃破した日。 2021年11月28日 大学時代の私は、日本史の勉強をしながら乗馬クラブでアルバイトをして、週末には競馬場への遠征を重ねるという日々を送っていた。授業がない日は基本的に乗馬クラブか競馬場にいるという馬漬けの毎日を過ごしていたから、大学の“華”のひとつであるサークル活動には積極的に参加していなかったのである。ただし、サークルに所属していなかった... ひでまさねちか
「名勝負」を語る まつりの日、まっすぐな心で。 - 2016年ジャパンカップ・キタサンブラック 2021年11月27日 小雨が落ち、薄暗い11月のターフを緊張させている。落ち着き払った漆黒の馬体は、何者も寄せつけず、一人旅を展開していた。私は苦い顔をしながら、職場である介護施設のテレビからその様子を見つめる。 2016年、ジャパンカップ。 鞍上は、レースを完全に支配していた。 「武豊?」 競馬とは無縁であるマダムたちも、続々とテレビの前... 吉田 梓
「名勝負」を語る 大団円を迎えた、奇跡のベテラン馬カンパニー。 - 2009年・マイルチャンピオンシップに寄せて 2021年11月21日 「大団円」という言葉がある。演劇や小説について使用される言葉で、それらがめでたく収まる場面について指すものだ。だが、この言葉は、本の枠を飛び越えて芸能人やスポーツ選手、競走馬の引退の際に使われることもしばしばある。競走馬の引退に絞れば、アーモンドアイやキタサンブラックなどがその例に当てはまるのだろうか。 今回は、長年に... 鳥野 紗々実
「名勝負」を語る [武蔵野S]不思議な感覚に陥るほどの、鳥肌モノの追い込み勝利。ワイドバッハと武豊騎手の、2014年武蔵野Sを振り返る。 2021年11月8日 派手な追い込みには、華がある。「大外一気」この言葉を聞いて、皆さんはどんな馬、どんなレースを思い浮かべるだろうか。 ディープインパクトの若駒S、キズナの日本ダービー、ヒシアマゾンのクリスタルC、ハープスターの新潟2歳S……。そうした芝の名レースを思い浮かべる方も多いだろう。ただ、とてつもない追い込みはダートであることが... ひでまさねちか
「名勝負」を語る 名優の血が二度の坂越えで覚醒 - 2015年アルゼンチン共和国杯・ゴールドアクター 2021年11月6日 東京の芝2500mは、伝統のハンデ重賞である目黒記念・アルゼンチン共和国杯と、年にたった2レースしか行われない特殊な条件である。日本競馬を代表する大レース、日本ダービーやジャパンカップが行われる東京芝2400mと距離が100mしか違わないものの、この条件を得意とする種牡馬の産駒などは、2400mとは多少異なる。それは、... 齋藤 翔人
「名勝負」を語る 馬名に違わぬ"ワンダー"なレースぶり - 1997年・京成杯3歳ステークス 2021年11月5日 1990年代後半は「マル外」と呼ばれる外国産馬たちが大活躍していた時代であった。ヒシアマゾン・ヒシアケボノ・タイキシャトル・シーキングザパール・エルコンドルパサーなど……ウマ娘のモデル馬として知られる馬たちもマル外の期待馬として日本競馬会を席捲していた。また、その活躍は日本国内にとどまらず、海外のレースにも及んだ。 シ... ばん
「名勝負」を語る [JBCクラシック]ひょっとしたらひょっとして……。牡馬を相手に残り50mまで先頭だった、ダートの名牝レイナワルツ。 2021年11月3日 JBCを勝つのはいつも中央競馬所属馬、地方競馬所属馬は勝負にならない。でもひょっとしたらひょっとして……。2005年名古屋競馬場で行われたJBCクラシックにおいて、地方競馬ファンの想いが結実しそうになった瞬間がありました。その直線は、映像越しに見ても場内が異様な空気につつまれていたことが伝わってきました。実際に現地で応... プーオウ
「名勝負」を語る [天皇賞・秋]『平成の三強』が初対戦! 区切りの第100回天皇賞・秋を振り返る。 2021年10月31日 長い競馬の歴史において『三強』と呼ばれる戦いは過去に何度もあり、名勝負を生んできた。 古くは1968年のクラシックを賑わせたアサカオー・マーチス・タケシバオー。 それぞれの馬の頭文字をとってTTGと呼ばれた、テンポイント・トウショウボーイ・グリーングラス。 そして2020年のジャパンカップも三冠馬3頭、アーモンドアイ・... 並木 ポラオ
「名勝負」を語る [天皇賞・秋]ウオッカvsダイワスカーレットvsディープスカイ…。牝馬の時代を象徴する大熱戦、2008年・天皇賞秋。 2021年10月28日 天皇賞・秋。それは数々の名勝負と記憶をうみだしてきた、伝統の一戦でもある。 皇帝が悔し涙にくれ、芦毛の馬は走らないという定説を打ち砕いた2頭が熱戦を繰り広げ、復活を賭した白いシャドーロールが馬群に沈み、女帝が牡馬を一蹴し、音速の貴公子がスピードの向こう側へと駆け抜けていく──。 府中の2000mには魔物が住むとまで言わ... 小早川 涼風